昨日の物理の話につついて、今日はもう一つ描写の難しい対象、”概念”についてです。
例えば、身近な概念として、エコがあります。辞書サイトによると、”自然環境保全。また、それらへの関心や意識”。
うん、どこをどうすれば絵になるのか…。
ボヤいていても仕方がないので、とりあえず先例を調べてみます。
困ったときは画像検索。エコロジーは和製英語ですが、大抵の単語は英語で検索すれば、言語の壁を超えて、先輩方の仕事ぶりを伺うことが出来ます。
大体植物や水、青空のイメージが多いですね。確かにエコといえば私もそんなイメージをいだきます。
ところが、環境保護に取り組んでいる農学部の院生の方に聞くと、実はエコを正確に理解するのは難しいそうです。
このイメージに対する反例をサクッと考えてみましょう。
エコというと、人間としてあまり利己的にならず、色々な生物と一緒に生きていこうぜ!というような事を想像するわけですが、砂漠には砂漠の環境があります。もし砂漠に水が溢れて植物が繁茂したら、倒せば素敵なアイテムを落としそうでお馴染みのモロクトカゲが滅びてしまいます。というわけで、場合によっては植物や水のイメージがエコではないわけです。
すると、こういったエコの画像は、”私達が暮らすこの辺りでは”という地域限定の画像だったとわかります。
もっとも、”多くの人が抱くイメージ”に寄せることで余計な説明を減らし、重要なポイントを強調することができるというのも、絵を作るときに必要なテクニックの一つではあります。
私もエコに関するお仕事を頂いた時は、喜んでで緑色や青色を使います。
そうそう、最後にとても大切なことを。
呑み会の席では、砂漠のエコの話もしないほうがいいですよ。2分で話の輪から外され、じっくりお酒の味に集中することになります。ありがとうありがとう。
サイエンスイラストレーター・サイエンスマンガ家 かつとあつと